説明不要のライカ Summicron 5cm F2です。
L39のスクリューマウントで、109万台のトリウムレンズです。手に入れたときはかなり黄変が進んでおりましたが、日光に晒すことでかなり除去でき、現在では薄いアンバー程度の黄変となっております。
状態はかなり良く、描写が”非常に”良いです。

これまで何本もズミクロンを購入しては手放し、購入しては手放しを繰り返し、描写の良いものを集めてきましたが、出品の本レンズはそのうちの1本です。わずかなクリーニングマークとフォグ以外、光学系に欠点はありません。クリーニングマークはコーティングを痛めるほどは深くなく、描写に影響しないため、山崎光学研究所などで再研磨することはお勧めしません。フォグに関しても同様で、LEDの強力なライトで確認すると僅かに目視できる程度で、順光光線では全く問題ありません。日光程度の逆行では影響しないと思われます。(というか、この時代のレンズなので、逆光ではコーティングの力不足の方が大きく影響します)
絞り問題なく、非常にスムーズです。ヘリコイドも同様で、滑らかです。
当方の複数台のライカカメラで距離計の無限遠合致も確認しており、デジタルカメラを使用し、ピントの確認もしております。現在も非常に良い描写でした。


伝説的な沈胴ズミクロンですが、実は複数回にわたって光学の設計変更が行われたと言われております。写真工業出版社「世界のライカレンズ」の『ズミクロン50ｍｍレンズの研究』という記事に詳しく記載がありますが、この設計変更はトリウムを含有するガラスを使用しなくなった影響で、屈折率の調整をしたために生じたものだと考えられます。
その為、狭義の意味でのオリジナルはトリウムを含んだレンズのものだけで、巷で言われるズミクロンにまつわる”伝説”を楽しもうと思われる方はトリウム入りのものをお勧めします。
本レンズは、そうした意味でも、実用的な意味でも十分役に立つと思いますので、ご検討なさってください。


出品の理由として、老齢のため、生前整理とまでは言いませんが、徐々に手放さなければならぬという思いから出品しております。このような理由から、また現在も入退院を繰り返していることから、返品・返金等の対応はご容赦願いたいと考えております。所謂3Nというやつでお願いいたします。
普段は開始価格を1円に設定し、成り行きに任せておりますが、このレンズに関してはあまりに安価で終了してしまうと私としても非常に惜しいため、開始価格を設定することにしました。ご理解ください。